冬の地下鉄は身体に沁みる。暖房もなく、外から流れてきたであろう寒風が辺りを突き抜ける。冷えるのを我慢しつつ黙々と歩き続ける私。
目的地はない、目の前に広がる道を永遠と進み続ける。
「いつまで歩こうか」
理由もなく歩いてた私はさすがに疲れてきた。座る場所もなく、あるのは道だけ。その場に屈む行為も人目が気になる。どうしたものかと悩んでいると、不意に出口が現れた。少々疑問もあるがようやく外に出れそうだ。
揚々な気分で階段を上るとそこは映画館だった。ライトが点々と点いた薄暗い室内。物静かな空気の中、異彩を放つ大量のポップコーンに目を疑った。ビニールプールほどの大きいケースに敷き詰められたポップコーン。そして横に書かれた「取り放題」の看板。
「これは珍しい!」
長時間歩いてすかせた小腹を満たすに十分だ。早速挑戦しようとするが店員はいない。取り放題用のカップはあったので、すぐさま手に取り、ポップコーンの海に突っ込んだ。山ほど入ったカップを見つめて自慢げにひたる私。
さて何味だろうか。見た目は白いのでキャラメルやカレーではないだろう。やはり定番の塩に違いない。ポップコーンに手を掴み、口に入れた瞬間目が覚めた。
そんな徹夜した私の見た夢。